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偽り言わず為すまじきをせず人には情けを。
負けるな・うそを言うな・弱い者をいじめるな。薩摩郷中教育の訓え。
われにきびしく・ひとにやさしく・うそつかず。克己誠恕。
出水兵児修養掟。
士は節義を嗜み申すべく候
節義の嗜みと申すものは口に偽りを言わず身に私を構えず、心直にして作法乱れず、礼儀正しくして上に諂わず下を侮らず人の艱難を見捨てず、己が約諾を違えず、甲斐がいしく頼もしく、仮初にも下様の賤しき物語り悪口など話の端にも出さず、譬恥を知りて首刎ねらるるとも、己がなすまじき事をせず、死すべき場を一足も引かず、其心鐡石の如く、又温和慈愛にして、物の哀れを知り人に情あるを以て節義の嗜みと申すもの也。
真の勇者は、冬の霜のように自分にきびそく、春の陽のように人の痛みを包む。
山田昌巌という人が撰んだと伝えられる「出水兵児修養掟」は、つねに生と死を見つめていた武士たちへの、味わい深いメッセージである。鹿児島県北部の出水の人たちは、今もこの文章を幼少期から声に出して唱え、諳んじている。人間として恥ずかしくない、美しい生き方をしたまえ、と教えているのである。
引用文献:語り継ぐかごしまの教え集 鹿児島県環境生活部生活文化課編集・制作 平成19年3月鹿児島県発行。
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